イタリア遺聞 (新潮文庫)



イタリア遺聞 (新潮文庫)
イタリア遺聞 (新潮文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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サロン風に気楽に楽しめるエッセイ

現在刊行中の「ローマ人の物語」で有名な著者の地中海に纏わるエッセイ集。著書の作品は、ともすると断定的な調子で書かれている場合が多く(私はAと言う男を信じないetc.)、それが好悪を分けたりするが、本書はそんな点はなく、気軽に読める。ただし、本書の内容を深く研究したいと考える人は、中世以降のイタリアを中心とした地中海沿岸諸国の歴史を勉強しなければならない程、話題が豊富だ。

ヴェネチィアのゴンドラが黒い理由、ヴェネチィア製ハンカチーフが廃れた訳、ヴェネチィアのホテル事情、トルコのハレムに送り込まれたフランス女の数奇な運命、ホメロスの「オデュッセイア」が恐妻型亭主の壮大な言い訳話だったというホラ話、古代聖地巡礼ツアーの実態、シャイロックの末裔のヴェネチィア商人の金銭事情、著者が人名・地名を記す時の苦労話、カサノヴァがスパイだったという話、等など。

どれを取っても気楽に楽しめる内容で、素敵な読書タイムを過ごせる快作。

エッセイで見るイタリアの歴史

 この本は、著者のエッセイ集です。
 しかし、「イタリアからの手紙」に比べると、歴史的な内容が多くを占めていて、軽いエッセー集気分では、なかなか読めません。
 また、その歴史も、著者御得意のローマ帝国、オスマン・トルコ、ヴェネツィア共和国のみならず、
ナポレオンや、アメリカ合衆国まで出て来て、読むのに、若干、骨が折れる感じもします。

 しかしながら、内容的には、読者の目を惹くようなものも多いのではないでしょうか?
 トルコにおけるスルタンのハーレムについて、カサノヴァについて、ダ・ヴィンチについてなどなど。
 また、ヴェネツィア共和国の外交官・大使による(本国への)報告書が大きく取り上げられているのが、本書の特徴・醍醐味です。
 著者によると、これらの内容は、どんな内容であれ、非常に冷静かつ客観的に書かれており、
マス・メディアの無かった当時の風俗を知るのには、非常に貴重な資料だそうです。

 歴史の表舞台に出てこない歴史を、著者の視点を通して読める、いいエッセー集だと思います。
エスプリに富んだ楽しいエッセイ

ヴェネツィア共和国の一千年の興亡を描いた大作「海の都の物語」に書ききれなかった、いわばこぼれ話を中心にしたエッセイ。塩野さんの本は読んでみたいが、「海の都の物語」や「ローマ人の物語」のような分厚い超大作はちょっと…という方に特にお薦め。

特におもしろかったのは、トルコのハレムの話(トルコはヴェネツィアの宿敵)。”官能的”の一言では片づけられない、ハレムの知られざる実態と、その中でしたたかに生き抜いた女たちの姿が興味深い。これをテーマにした歴史小説があれば読んでみたいのだが。

世界最古の叙事詩「オデュッセイア」は、実は朝帰り亭主が女房に言い訳するための壮大なホラ話だった…という説もケッサク。軽い文体の中に、男性心理への深い洞察が潜んでいる。

アガサ?クリスティーが40歳の時の写真しか載せなかった…という話を皮切りに、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが、長生きしたにもかかわらず、20代の若い時の彫像ばかり作らせ、しかも美化修正してしまった…という、容貌についての話にも大笑い。

などなど、読みやすい文章で気軽に楽しめるが、エスプリと人間洞察に富んだ、とてもおもしろいエッセイである。お試しあれ。
歴史が苦手な人も...

正直、 イタリア?歴史?塩野七生?
どれも興味はあったものの、敷居が高く(?)聞きかじりだけにとどまっていたのですが、
ふと手にとって見て読み始めたら、世界史の授業が大の苦手だったことがうそのように、鮮明に歴史の現場を感じることができました。

この本自体が、特に題材、時代を限定したものでないこともあり、

古代ローマ、コンスタンティノープルから、近代のヴェネツィアまでを駆け足で、いったりきたり散策できる楽しみと、次はこの本を(この時代・都市・人物)を読んでみようと思わせる、入り口になりました。
ちょっとした地中海の余暇を体験

いつもどうりで期待を裏切らない、豊かで充実した内容。買って損しません。通勤の電車で、お風呂の中で、又は寝る前のひとときに。あなたを地中海のバケーションに連れていってくれます.読みやすい長さのエッセイ集。塩野さんの辛口の 語り口は絶品です。



新潮社
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